Windows 10でIntel Smart Response Technologyを使う話題

  • NEC PC-LL850MSBでのインストール備忘録(2016.5.28)

  • Windows 10上でIntel Smart Response Technologyが使えるかどうかの情報があまりに少ないため、実機を使って調べてみました。

    なお、本ページの記述内容の適用に際してはご自身の責任においてお願いします。


    NEC PC-LL850MSBでのインストール備忘録(2016.5.28)

    NEC PC-LL850MSBをWindows 10にアップグレードする際、NECの手順通りに行うと、Intel Smart Response Technologyを無効にすることになり、結果としてWindows 10でのディスク読み込みパフォーマンスがWindows 8.1Updateより極端に低くなります。これは、起動時、アプリケーション立ち上げ時など、多くの場面で体感できるほどです。

    PC-LL850MSBのスペックの一部を抜粋します。

    Windows 8.1Updateでのディスク読み込みパフォーマンスはCrystalDiskMark(以下同様)でシーケンシャルリード347MB/s/ランダムリード200MB/sぐらいあります。デフォルトはenhanced(拡張) modeのようで、writeは早くありません。

    NECの手順でWindows 10にアップグレードするとシーケンシャルリード100MB/s/ランダムリード1MB/sぐらいしかでません。これはIntel SRTを無効にしているので当然で、ほぼHDDのパフォーマンスと同様です。

    このままのパフォーマンスは許容できないので、Windows 10でもIntel SRTを有効にしてみました。

    具体的には、Windows 10 Homeへのアップグレードを以下の2通りの方法で(クリーンインストールではなく)アップグレードインストールを実施しました。

    1. Windows 8.1UpdateにIntel Rapid Storage Technologyの最新版14.8.0.1042を適用して、Windows 10にアップグレード
    2. Windows 8.1Updateで一度Intel SRTを無効にしてWindows 10にアップグレードした後、Intel RSTの最新版14.8.0.1042を適用

    結果から言えば、どちらの方法でもIntel SRTが使用でき、パフォーマンスもアップグレード前と同等(以上)となりました。1.の方法でも2.の方法でもシーケンシャルリード400MB/s/ランダムリード200MB/sぐらいとなり、パフォーマンスに差はありませんでした。

    現在、2.の方法でバージョンアップ後、しばらく使用していますが、特に不具合は発生していません。

    以下は備考です。今回の件を行うにあたって分かったことなどです。

    Windows上のデバイスドライバーの名称は、記憶域コントローラーの「Intel(R) Mobile Express Chipset SATA RAID Controller」(バージョン12.0.0.1082)または、「Intel Mobile Express Chipset SATA RAID Controller」(バージョン14.8.0.1042)です。

    BIOSにもIntel(R) RST SATA Driverがあり、バージョンは12.0.0.1783です。これはWindows上のデバイスドライバーを更新しても変化ありません。

    1.の方法でWindows 10にアップグレードする場合、Intel RSTのGUIはインストールする必要はなく、デバイスドライバーだけアップデートすれば機能します。

    NEC提供デバイスドライバーは、C:\DRV\IRST\にありますが、このフォルダのInstallRST.batを使用してGUIのインストールを行うと、使用できるモードはenhanced(拡張) modeのみとなり、maximized(最速) modeが選択できなくなります。これは、バッチファイルの中でレジストリの設定を行っているためです。

    Windows 8リカバリー直後も、maximized modeは無効になっています。(そのよ うにレジストリの設定がされています。)

    2.の方法において、Intel SRTの無効化はBIOSから行います。(標準ではIntel Rapid Storage TechnologyのGUIがインストールされていないため。)この手順は下記の通りです。

    1. 電源を完全に落とす
    2. 電源を入れる
    3. NECのロゴが表示されるところで、F2を連打してBIOSに入る
    4. 詳細タブを選択
    5. Intel(R) Rapid Storage Technologyの行を選択し、リターン
    6. Intel(R) Rapid Storage Technology画面になる
      
      Intel(R) RST 12.0.0.1783 SATA Driver
      
      RAID Volumes:
      DISK ID 0, RAID0(Stripe), 931.5GB, Normal
      Volume_0000, RAID0(Cache), 29.8GB, Normal
      
      
    7. DISK ID 0, RAID0(Stripe), 931.5GB, Normalの行を選択し、リターン
    8. RAID VOLUME INFO画面になる
    9. Volume ActionsのRemove Accelerationの行を選択し、リターン
    10. Remove Acceleration画面になる
      
      Remove disk/volume Acceleration?
      ALL UNSYNCHED DATA WILL BE LOST!
      
      Yes
      No
      
      
    11. Yesの行を選択し、リターン
    12. Intel(R) Rapid Storage Technology画面に戻る
      
      Intel(R) RST 12.0.0.1783 SATA Driver
      
      RAID Volumes:
      Volume_0000, RAID0(Cache), 29.8GB, Normal
      
      Non-RAID Physical Disks:
      Port 0, WDC WD10JPVX-08JC3T2 WD-WX91E13UPC17, 931.5GB
      
      
    13. Volume_0000, RAID0(Cache), 29.8GB, Normalの行を選択し、リターン
    14. RAID VOLUME INFO画面になる
    15. Volume ActionsDeleteの行を選択し、リターン
    16. DELETE画面になる
      
      Delete the RAID volume?
      ALL DATA ON VOLUME WILL BE LOST!
      
      Yes
      No
      
      
    17. Yesの行を選択し、リターン
    18. Intel(R) Rapid Storage Technology画面に戻る
      
      Intel(R) RST 12.0.0.1783 SATA Driver
      
      Non-RAID Physical Disks:
      Port 0, WDC WD10JPVX-08JC3T2 WD-WX91E13UPC17, 931.5GB
      Port 1, SAMSUNG MZMPC032HBCD-000L1 S0Y2NYAD402378, 29.8GB
      
      
    19. ESC
    20. BIOSに戻る
    21. F10
    22. 設定の変更を保存して終了しますか?
    23. はいを選択して、リターン

    2.の方法において、Intel SRTの有効化はIntel RSTのGUIから行います。(BIOSからは有効にできません。)この手順は下記の通りです。

    1. Intel RSTのGUIを起動する
    2. ステータス画面で、現在のステータス欄のパフォーマンスの「高速化の有効」をクリック
    3. 高速の有効化の画面で、「OK」をクリック

    作業完了後、GUI上で一目でRAIDが組まれていることが分かります。BIOSで確認しても、RAIDが組まれていることが分かります。

    NEC提供のデバイスドライバー12.0.0.1082をWindows 10で使用しても、私が試した範囲では、OSが起動しなかったり、クラッシュすることはありませんでした。しかし、パフォーマンスがIntel SRTを無効にした場合とほとんど同等と、全く出ませんでした。


    私の環境の問題かもしれませんが、2.の方法でIntel SRTを無効にした後の再起動後、キーボードとトラックパッドを認識しなくなりました。PC-LL850MSBはタッチ液晶のモデルなので、タッチ液晶で操作してデバイスマネージャーを開いてキーボード(NEC Note Keyboard with One-touch start buttons)とトラックパッド(NX PAD (for Wide))の状態を確認したところ、いずれも「!」マークがついており、正常に動作していないようでした。このため、キーボードのデバイスドライバーを削除して、再起動したところドライバーは標準キーボードのものになりましたが、キーボード/トラックパッドとも使えるようになりました。

    NECから、Windows 10用のキーボードドライバーが提供されているので、Windows 10アップグレード後、このドライバーを適用したところデバイスも「NEC Note Keyboard with One-touch start buttons」に戻り、キーボード/トラックパッドとも問題なく使用できています。


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